2025年3月25日火曜日

鳥影が薄い今年の冬・2 “キガオヒヨドリ”の群れを見て考える

  

 



  今年の冬はツグミやシメの姿や声に接することが少ないことを2月の本ブログにアップしました。その後の情報では、全国的な傾向のようで、各地から“少ない”という声が聞こえています。「その理由」は残念ながらよくわからないようです。しかし、3月に入ると、各地でツグミの声や姿を見かけるようなりました。ただ、シメの方は相変わらず少数しか確認できていません。先日、練馬区の都立大泉中央公園や隣接する和光市の県営樹林公園で久しぶりにイカル【写真・上】の10数羽の群れを見かけました。 多摩地区では留鳥だったこの鳥は、近年は「冬鳥」となっているようです。同時期に文京区の小石川植物園でも見たとの情報があり、移動の動きがあったようです。 

その小石川植物園では“キガオヒヨドリ” 【写真・下】の群れを見かけました。もちろんそんな名前のヒヨドリがいるわけではなく、ツバキの花に顔を突っ込んで、その花粉を大量につけて顔が黄色くなったヒヨドリです。彼らの行動を見ていると花の蜜を吸うだけではなく、花びらを食べています。そのため大量の花粉が顔につくようです。かつてはどうだったかと思い起こすと、以前から嘴付近が黄色個体は見ていましたが、顔までは少なかったような気がします。いかがでしょうか。 

ところで、“ヒヨドリの行動が昔と違う” という話は以前からありますが、その実態はまだ詳しくは調べられていません。ヒヨドリはいま日本では一番の“普通種”といえる鳥ですが、世界的に見れば、その分布はほぼ日本だけといえるほどです。我が国での本格的な研究を行う必要がありそうです。しかし、なかなか手ごわそうですね。                    〔研究部・川内博〕

2025年2月21日金曜日

ツグミ・シメのいない冬・情報をお寄せください

  

 今年の冬はツグミの姿や声に接することが少なく、その理由を捜していますが、今のとことろよくわかりません。皆さんのフィールドではいかがでしょうか。昨冬も年末までは少なかったのですが、年明けには姿を見せはじめ、いつもと同じように5月の初めごろは、グラウンドにたくさん終結するようすを見ることができましたが。

見かけないのは同じ冬鳥のシメ。【写真】 いないわけではないのですが、フュールドで見かける回数が極端に少ないといった状況です。ツグミやシメだけでなく“全体に鳥影が薄い”と感じられている人は多いようです。下町の緑地、水元公園からの私信では、ここ数年冬場に飛来していたアカゲラがみられない、また湿地のアシが刈られて、クイナやヒクイナ、オオジュリが確認できていないとのことです。

逆に、それらを狙う「猛禽類」は、各地で出会います。身近なフィールドでツミの声や姿、ハイタカの飛ぶ姿、ノスリの舞い、オオタカはいくつもの森で健在のようです。また、フクロウが定着している森も多くなっているようです。

各地の“冬のようす”をお寄せください。〔日本野鳥の会東京・研究部〕

2024年12月29日日曜日

越冬時期のツグミ類の情報を

  

  昨冬に続き、今冬もツグミの平地部への飛来が遅いようです。東京地方で初認は11月初めというのがこれまでの状況でしたが、昨冬は年を明けてからその姿が多くなり、1月中旬ごろに通常のようすになりましたが今冬はどうでしょうか。一般に大陸から渡来した個体は、まず山中の食糧事情がいいとそこに留まり、厳しくなると里に下りてくるようですが、今秋も山に食べ物が多いのでしょうか。

大型ツグミ類としてはシロハラの姿や声は、23区内の緑地でもよく見聞きしますが今冬はどうでしょうか。かつては冬鳥として普通種だったアカハラの減少は続いているようです。都心の緑も通過していくマミチャジナイは、秋にそれらしい声を聞きましたが、姿は確認できませんでした。越冬はしていないのでしょうか。数は少ないのですが、トラツグミ【写真・川内博氏撮影】も限定された場所で少数越冬しているようです。

一方小型のツグミ類、日本鳥類目録第8版では「ヒタキ科」として復活しましたが、ジョウビタキ10月末ごろから目立ちました。ルリビタキはいかがでしょうか。ここのところ姿が少なくなったような気がしますが。都内某所でオジロビタキがという噂も聞きますが。

彼らがいなくなった春に、それらの情報を、場所・年月日・報告者の氏名を記して、研究部あてお知らせください。           
                〔日本野鳥の会東京・研究部

2024年11月29日金曜日

東京都内でのガン類・ハクチョウ類の生息状況を調べています

  

  


 118日、フィールドとしている埼玉県の荒川ぞいの彩湖のようすを見に行った時、湖の西岸(さいたま市南区)でマガンの幼鳥を発見しました。岸辺の草むらに上がりイネ科の雑草を食べていました【写真】。近くの水上ではホシハジロが200羽、キンクロハジロ50羽、そして名物のカンムリカイツブリ10羽を認めました。マガンは盛んに草を食んでいて、警戒はしていましたが、逃げる様子はありませんでした。ただ、付近は親子連れが遊ぶ場所でしたので、短時間で観察は切り上げました。翌日、確認のために出向いたところ、同じ場所にいましたが、すぐに親子が水辺に近づいたため、マガンは水上へ逃げていきました。

9日は、超望遠レンズと三脚を携えた人が付近に多数たむろしていましたので、マガン情報が広まって集まった人かと思い話しかけたところ、当日、自衛隊の観閲式があり、ジェット機などが付近を飛ぶのを撮るためとのこと。野鳥撮影以外での「超望遠レンズの需要」を初めて知りました。その際、集まった人のなかの年配者の男性から、マガンは3日前からきているという情報を得ました。その後、1119日に出向いたときは見かけませんでした。

ところで、ネットで調べていたら1114日に観察したとの情報が載っていました。また、201510月に同じ場所と思われるところでの記録がアップされていました。

現在、東京都内でのガン類・ハクチョウ類の記録を調べています。「日本野鳥の会東京・研究部」あてにメールでお知らせください。

                    〔研究部・川内〕                                             

2024年10月20日日曜日

『2024年版 千葉県の鳥類目録』が発行されました

  

  千葉県野鳥の会(千葉県船橋市)で、その50周年を記念し、“今まで千葉県で記録された鳥をわかる限り”でまとめたと前書きに記されている『2024年版 千葉県の鳥類目録』【右図】が発行されました。A4判・192ページ・オールカラーのなかには、2375461種と外来種14種のデータが詰め込まれています。そのうち15種は1974年以降(ここ50年間)県内での記録がないとのこと。

  千葉県野鳥の会では創設時より県内50カ所近くの地区で一斉調査を年に3回実施してきたという実績があり、水鳥類の個体数の変化を示したグラフは、一見してその状況を知ることができ、とくにチドリ目の個体数の推移は日本列島の海岸線の変化を裏付ける貴重な資料となっています。掲載されているほとんどのグラフは右肩下がり(年を経るごとに個体数が減る)ですが、ミヤコドリやコブハクチョウ、カワウのように増加傾向が著しいものや、アオサギ・ダイサギなど大型のサギは増え、ゴイサギ・コサギなどの小型のサギは減るという実態を示したものもあります。今後さらに多面的な分析が待たれるところです。

 将来、この目録をベースに、さらに充実した「千葉県産鳥類目録」ができると思いますが、この本の内容はネットでは知ることができませんので現物を入手する必要があります。おもに会員へ頒布されていますが、一般の方も1500円+送料で購入できるとのことです。詳しくは千葉県野鳥の会事務局に問合わせてください〔電話・Fax047-407-0810                                                 〔研究部〕

2024年9月27日金曜日

『日本鳥類目録 改訂第8版』が発行されました

  

 「日本鳥類目録」が12年ぶりに改訂され、この9月に『日本鳥類目録 改訂第8版』として発行されました。これまでと同じA5判で、ページ数は増えて472ページ。定価5,500円。24目83科644種・外来鳥8目31科46種の情報が収録されています【写真右】。 改訂の意図や変更点などは、ちかく『ユリカモメ』で紹介されることとなっていますので、ここでは、東京都に関係する大きなことだけ触れておきます。

 一つはこれまで“亜種オガサワラカワラヒワ”だったのが「オガサワラカワラヒワ」という独立種になったこと。この小鳥が棲んでいる場所は、東京本土から南に1000㎞離れた、太平洋上の小笠原。かつては各島にふつうに生息していたとのことですが、近年激減し、母島とその属島および硫黄列島でしか生息せず、個体数は200羽程度ではないかとされています。そのため「絶滅危惧ⅠA類」とされています。この鳥の幼鳥の写真が『ユリカモメ』2010年11月号の表紙に登場しています(三間久豊氏・同年7月7日母島で撮影)【写真左】 もう一つは、“亜種リュウキュウサンショウクイ”が「リュウキュウサンショウクイ」と独立種になったこと。今年、八王子市内でその営巣が観察され、その報告が『ユリカモメ』2024年10・11月号の研究部レポートに載っています。     〔研究部・川内〕


2024年7月31日水曜日

イソヒヨドリの「営巣場所」を調査中・ご協力ください

  

 

「海辺の鳥」のイソヒヨドリが内陸部に進出し、繁殖をしている状況は全国的に見られていますが、“なぜ”という当初からの疑問に明解な答えはまだ出ていません。ムカデやカナヘビのような地上性の小動物【写真】のものから植物の漿果までなんでも餌とし、道に落ちているパンやお菓子なども食べ、はては酔っぱらいのはいた吐しゃ物を口にし、ゴミ箱漁りまでするという雑食性からは、これまで彼らが「岩礁」にへばりついていた理由を憶測することもできません。また、東京での「大繁殖地」が八王子一帯という事実も解せません。さらに、イソヒヨドリと生態的に競合するような鳥がいなくなったという話も聞いていません。 

このような状況の中、現在力点をおいて追っているのは、「営巣場所」はどこかということです。海辺での彼らの営巣地は岩の割れ目など。海岸近くの人家への営巣も記録されていますが特に好んでということもないようです。市街地に進出してきた彼らの繁殖地は、駅前などけっこうにぎやかな場所。しかし、郊外のという例も増えています。また、繁殖場所はコンクリート造りの建物が多いという傾向はありますが木造の例もあり、どれ一つとっても解明への“決定打”がないという状況です。現在「営巣場所」の事例を集めています。興味ある方は下記にご連絡ください。

Emailhkawachi@Jcom.zaq.ne.jp        〔川内 博〕