2017年8月14日月曜日

研究部8月例会・ビデオ作品鑑賞会を実施

  

連日の猛暑が噓のような涼しい曇り空の811日の午後5時。日本野鳥の会東京・研究部8月例会の議題として、会員の難波誠一さんのビデオ映像を1時間鑑賞しました〔写真〕。1997年~2014年の間に、東京一帯の探鳥地20か所で撮影された、珍鳥を中心とした55種の映像で、鳥の行動や鳴声などの記録を大事にされる同氏の姿勢から、図鑑や写真では読み取れなかったことがいくつも見つかりました。難波さんは、映写しながら、自分の観察や撮影時のようすなどを静かに語られました。

見終わったあと、印象に残ったシーンとして、参加した川内桂子さんからは「カラシラサギの採餌行動がコサギに似ているというのですがコサギよりも素早く見えました。今度コサギに出会ったらゆっくり観察して比べてみたくなりました。」、「アオシギがヤマシギと全く違う歩き方なのには驚きました。外見はそっくりでも、全く違うとは。」、「サンカノゴイはどこにいるかわからないので、居そうな場所に向けて長時間撮影をし、その後、早送りをして見ると不思議なことに見えてくるというのは面白かった」などが寄せられました。また、葛西臨海公園での探鳥から駆けつけた田久保晴孝さんは、「ウミネコばかりでもうシギ・チはいない」と寂しそうに語っていました。12羽の珍鳥でなくて、もっと広大な湿地回復で何千何万という渡り鳥を呼び戻す日本独自の地球規模のプロジェクトはないのでしょうか。

とりあえず、これまで撮られた過去の野鳥の記録・観察の蓄積などのレガシーを保存・保管し、有効な活用法を考えるための第一歩の試み。短時間に沢山の種を観察できる有意義なビデオ鑑賞でした。改めて、話題提供者の難波さんに感謝の拍手をお送りします。

2017年7月22日土曜日

都内のムクドリのねぐらは?・⑦            共存の道は?

  

ことしも“駅前ムクドリねぐら騒動”の季節となりました。都内のねぐら地の検証を進めていますが、昨年、ムクドリ専用の“新兵器”でかく乱された東京メトロ東西線・西葛西駅南口広場には、719日夕方、目測3000羽が集まっていました。〔写真〕
「ムクドリが嫌う周波数の音を流して、ねぐらの木に止まらなくする」ということで、その機器は各地のねぐらに設置され、当初は抜群の効果を示しますが、時間がたつにつれて“残念ながら”の結果に終わっているようです。西葛西駅前も、昨年の後半と同様なんの効果もなく、鳴声騒音といつ落ちてくるかわからない糞の問題をかかえて、午後7時過ぎには広場一帯の街路樹のなかに収まってしまいました。

720日の夕方訪れたJR八王子駅北口から続く大通りにも、今年は人工合成音が流れていました。ムクドリの動きは、昨年同様まず近くの電波塔などに集まり、次いで大手家電店の屋上に移り、1000ルクスを切るころから街路樹におり始め、500ルクスくらいで大半がマロニエの並木に収まりました。その間、複数台設置された“新兵器”は、時間差攻撃で鳴っていましたが、西葛西駅前同様、まったく効果なく、最大85デシベル(dB)以上の音が鳴り続けていました。

その足で、今夏変化があったという京王線・聖蹟桜ヶ丘駅の状況を調べてみました。情報通り、ねぐらの中心地であった商業ビル・せいせきB館とC館をつなぐ歩道橋周辺には1羽のムクドリもいず、昨年から設置された機器が、八王子と同じ音を流していました。しかし、そこから200m離れた街路樹には数100羽のムクドリの鳴声がしていました。
それを確認して、移った先ではないかという同じ路線の分倍河原駅の周辺を調べてみました。ここは前2駅と違い、にぎやかな飲食店通りが1本あるだけで、“人通りが大好き”な都会派ムクドリのねぐらには適地ではないと思われ、姿も鳴声も確認できませんでした。

 ムクドリのねぐら形成については“定説なし”が現状です。さまざまな嫌がらせをしても立ち退かなかったのが、ある日突然原因不明でいなくなることもよくあります。しかし、いなくなったのはその場所だけのことで、その群れは移ったどこかで新たなトラブルが生じている可能性大です。40年来解決できない難問のとりあえずの答えは“消滅させることは不可能・共存する道を捜すのがベスト”。〔日本野鳥の会東京・研究部〕

2017年6月24日土曜日

神津島の野鳥・繁殖調査の結果速報

  
  東京都鳥類繫殖分布調査として、伊豆諸島・神津島の調査が行われました。調査は5月末~6月初めに実施され、25種が記録されました。一番多かった鳥はウグイスで、ヒヨドリ・メジロ・ヤマガラの4種でほとんどが占めていました。しかし、カラスバト、イイジマムシクイなど、本土ではほとんど見られない鳥も認められました。また、島の北部、つづき沢一帯ではミゾゴイ・サンコウチョウ・キビタキなどが記録されました。ホトトギスが終日大きな声で鳴きながら飛び回っているのも印象に残りました。

ところで、この島の鳥の特徴として知られているのが「亜種ナミエヤマガラ」。ヤマガラの一亜種として、この島や新島などでその生息が知られていますが、オーストンヤマガラのように一目見てわかるほどの違いはなく、その識別は目視や写真などでは困難なようです。とりあえず、神津島で撮ったヤマガラの写真をあげておきます〔写真〕。

【神津島の野鳥・記録一覧】カラスバト、ウミウ、ミゾゴイ、ササゴイ、ホトトギス、アマツバメ、メリケンキアシシギ、ウミネコ、トビ、サンコウチョウ、ハシブトガラス、ヤマガラ、シジュウカラ、ツバメ、ヒヨドリ、ウグイス、オオムシクイ、イイジマムシクイ、メジロ、オオヨシキリ、イソヒヨドリ、キビタキ、スズメ、ハクセキレイ、ホオジロ
                         (川内

2017年5月26日金曜日

自然教育園と新宿御苑、ヤマガラの繁殖確認・ウグイスは?

  

  以前からその繁殖に注目している東京都心部でのヤマガラとウグイスの繁殖。ヤマガラについては、親と行動を共にする「巣立ちビナの確認」という形で、この5月に自然教育園(港区)と新宿御苑(新宿・渋谷区)で記録しました。両園とも生息自体は以前から認められていましたが、“確実に繁殖しているという証拠は見つかっていませんでした。

一方、ウグイスについては、今年も新宿御苑の2か所で囀っています。昨年は、秋の園内の手入れの際に、古巣がないか気をつけてもらったのですが、残念ながら朗報は聞けませんでした。戦前は明治神宮などでの繁殖が記録されていますし、日本各地の平地部でふつうに生息し、東京でも郊外の川沿い・海沿いの草原では“越夏”が記録されていますが、どこも「繁殖確認」はできていません。

それにしても、新宿御苑のウグイスはよく囀り・動き回ります【写真】。この行動が何を意味するのか、また、“一夫多妻”といわれているウグイスですので、複数個体がいるのか調べていますが、今のところ1羽しか確認できていません。

交通の便のよい新宿御苑ですので、機会があったら立ち寄ってみて、繁殖にかかわる観察をされたら、ぜひ研究部あてお知らせください。                           〔日本野鳥の会東京・研究部〕  

E-mailofficeyacho-tokyo.org <送信の際に★を@に変換してください>

2017年5月15日月曜日

東京都鳥類繁殖分布調査 現地調査とアンケート調査

  
現地調査〔本土部のみ〕
1.参加者登録:下記にアクセスして「登録」をお願いします。
2.調査地登録:調査可能な場所を登録してください。
3.調査のための準備:調査コースを事前に確認してください。
4.現地調査:調査は「同じコースで1週間以上間をあけて2回」実施 
 23区・多摩地区などは5月初旬~6月下旬の朝430分~9
奥多摩地区は5月下旬~7月下旬の朝5時~9
5.調査結果:終了後、結果を所定のアドレスに送信してください。

アンケート調査
現地調査を引き受けるのは難しいけど、ぜひ参加・協力したいという人は多いと思います。そんな方が積極的に参加できるのが「アンケート調査」です。対象期間が2016年~2020年です。日ごろ観察したことや文献上の情報など、すべてアンケート調査の対象となります。詳しくはウェブサイトをご覧ください。
http://www.bird-atlas.jp/tokyo/


2017年4月30日日曜日

東京都鳥類繁殖分布調査・5月1日より現地調査

  

51日から東京都鳥類繁殖分布調査の現地調査が始まります。1970年代・1990年代に続き、3回目の調査ということになります。今回の調査の第一の特徴は“民活”です。東京都全域の調査をNGOの力で実施できるとは、以前は考えられませんでした。今回は東京都からの要請ではなく、鳥の団体が独自に企画し、民間の助成資金を獲得しての実施です。

今回の特徴の第二は「島しょ部の調査」です。この調査は今まで本土部だけでしたが、今回は伊豆諸島の9つの有人島の全メッシュを調査するということです。全島での繁殖調査となると、約半世紀前の1970年代の樋口広芳氏の記録以来となります。さらに小笠原諸島でも現地の研究者・ナチュラリストが立ち上がり、同時並行で調査をすることになりました。415日と22日の夜に「島しょ部調査・決起集会!」が、日本野鳥の会東京の事務所で開かれ、30名以上の調査者が集まりました。〔写真〕
詳しくはホームページを http://www.bird-research.jp/

2017年4月9日日曜日

エナガの話題・その2 千葉の「顔の白い]エナガ

  

  当ブログの前回(331日付)は「東京都心部でのエナガの繁殖・真っ最中」というタイトルで、山の手地域の緑地では広く繁殖するようになっていることを紹介しましたが、日本野鳥の会東京の月例探鳥地のひとつ、千葉県習志野市の谷津干潟周辺には「顔の白い」エナガが観察されています。日本野鳥の会千葉県の会誌『ほおじろ』4月号に、「顔白エナガ観察例 上」という記事が載っていました。

これは、昨年4月、同誌が観察記録の報告を呼びかけ、それに応じて県内各地から「顔の白いエナガ」の写真が寄せられたもので、4ページにわたって19点が載せられています。撮影場所は、千葉市、四街道市、松戸市、柏市、八千代市、我孫子市、佐倉市ですが、タイトルが「上」となっていますので、続きがあると思われます。「顔の白い」エナガが千葉県内のどのあたりまで生息するのか興味深いところです。

写真を見ると、その「顔白」の度合いはさまざまで、北海道にすむ「シマエナガ」並みの個体の写真もあります。私が谷津干潟や松戸の江戸川沿いで見たものもさまざまで、同じ群れの中に、普通のエナガと同じパターンのものと白っぽいものも混じって行動していました〔写真〕。東京都内では、今のところ、「顔白」タイプは見ていません。

そもそもこの顔白エナガがなにものなのかは、まだよくわかっていません。とりあえず、北海道に分布する別亜種シマエナガに模して“チバエナガ”と命名していますが、その解明にはDNA解析など専門的な研究が必要のようです。

それにしても、東京では武蔵野から広がっている「生息分布拡大」と、お隣の千葉での「顔白」個体の発見経過は同じような時期で、エナガの世界になにか起こっている可能性もあります。

東京のエナガの分布拡大は、近いうちに下町まで広がると思われ、そのうち、千葉の顔白エナガと接触する可能性があります。今後どんな話に発展するか、これも興味深いところです。     〔川内 博〕                                                                                                 

2017年3月31日金曜日

東京都心部でのエナガの繁殖・真っ最中

  

  東京都心部の緑地でエナガが繁殖し始めて10年近くになります。これまで、明治神宮(渋谷区)や自然教育園(港区)、小石川植物園(文京区)での繁殖が確認されていますが、今年は小石川後楽園や六義園(いずれも文京区)のような日本庭園タイプの公園でもペアでの生息が観察されています。それも数つがい。“山の手”台地にはすっかり定着したようです。今後は、浜離宮庭園(中央区)や清澄庭園(台東区)などの“下町”の緑地に進出するのがいつか興味深いところです。もし、すでにそれらの場所で確認されている方がいましたら情報をお寄せください。

早春に繁殖するエナガはいま巣造りの真っ最中〔写真〕。なかには“桜の銘木”の木の股に毎日数千人の来園者に見られながら造巣をした夫婦もいました。しかし、数日後つぼ型の巣造り途中の巣が枝にぶら下がっていました。興味本位でカラスがちょっかいを出したのでしょうか。もっとも、しぶとい彼らは、また新しい巣を造って、数週間後にはかわいいヒナたちが生まれてくるでしょう。                 〔川内

2017年3月14日火曜日

みんなで参加しよう・東京都内の繁殖調査 説明会のご案内

  



3回目の「東京都鳥類繁殖分布調査」が始まります。伊豆諸島の調査が初めて行われます。

1970年代・1990年代に行われたこの調査がこの4月から始まります。これまでは東京都によって行われていましたが、今回は、NPO法人・バードリサーチが中心となって、民間団体によって、2~3年かけて実施されます。さらに、伊豆諸島も全島調査が予定されています。

当会では、この調査に積極的に協力します。調査自体は難しいものではありません。日ごろから培った野鳥識別のスキルとボランティア精神を発揮して、みなさんぜひ参加してください。

 その説明会を、下記の予定で開きます。ぜひご参加ください。なお、調査について詳しくはバードリサーチのホームページをご覧ください。 http://www.bird-atlas.jp/tokyo/index.html

説明会の開催

日時:2017318日(土)14時~16時  
場所:日本野鳥の会東京・事務所
    (新宿区新宿51816 新宿伊藤ビル3階)

事前申込み・参加費不要
  近くまで来て、場所がわからない場合は、電話をください
   電話番後:03‐5273‐5141

2017年2月12日日曜日

「東京のカラス問題」は過去問か?・・・2月15日のテレビ番組紹介

  
 
 さいきん身近な場所から“カラスが減った!”と思ったことはありませんか。ごみ集積所で生ごみを食い荒らされることがなくなった、いつもの散歩道でカラスの姿が少なくなっていると実感されている人は多いと思います。東京都心部で「カラスが減った」という証拠があります。都市鳥研究会が5年ごとに行っている、都内3か所の集団ねぐら地(明治神宮・自然教育園・豊島岡墓地)での昨年末のカウント調査では、ねぐら入りする数は往時(18,664羽)の144,816羽)以下となっています。

「東京のカラス問題」については、1999(平成11)年から日本野鳥の会東京・研究部が中心になってカラスシンポジウムを立ち上げ、その対策を提案しました。その主旨は、東京都心部のカラスが増えた大きな原因は、雑食性のカラスの餌となる「生ごみ」が街角にあふれかえっていたため。対策としては、住人や業者のごみの出し方とそれを収集する行政の対応を改善し、結果的に路上にカラスの餌のない環境をつくり、彼らを「兵糧攻め」するのが一番だというものでした。そして“ごみを荒らすのはカラスだから、捕まえて減らせばいい”という対策はとらないようにという警鐘でした。

しかし、都が実施したカラス対策は、危惧していた「カラス捕獲トラップ」〔写真提供:川内博氏〕の大量設置でした。2001年から都立公園など100か所以上に、大型の捕獲用のトラップを設置し、毎年1万数千羽のカラスを捕殺し続けています。
世間的にはそれが功を奏してカラスが減ったと思われていますが、5回開いたカラスシンポジウムの会場には、ごみ荒らしに困っている住民や、収集している23区の担当者も多数出席していて、「ごみの管理」が一番ということを理解してもらっていて、各区でそれぞれ創意工夫・努力がされ、野放し状態だったごみの管理がしっかりされ、都民からのカラス関係の苦情は激減しています。

一連の「東京のカラス問題」が、215日(水)の深夜(16日)午前043分~113に放送されるTBS「上田晋也のニッポンの過去問」に登場します。タイトルは『東京カラス騒動』とのことです。

2017年1月12日木曜日

ご案内 ガンカモ類調査交流会 1月29日

  


モニタリングサイト1000ガンカモ類調査交流会


2017129日(日)谷津干潟自然観察センター

13:0017:00 ガンカモ類調査交流会(参加費無料、申込不要)

17:0019:00 懇親会(HPからお申し込み下さい)

プログラム 詳しくはHPをご覧下さいhttps://goo.gl/EPPU2K

身近なガンカモたち

荒川で越冬したハクガンの状況と東京のカモ事情(川内博 日本野鳥の会東京) 〔写真〕
関東地方におけるマガモ属の減少と農業集約化の関係(渡辺朝一)
東京湾のスズガモの動向(志村英雄 日本野鳥の会千葉県/NPO法人野鳥千葉)
ホシハジロとコガモは、北へ行くほどオスが多い(神山和夫 バードリサーチ)

全国的なガン類・ハクチョウ類の動向

増加しているマガンは何を食べている?(嶋田哲郎 宮城県伊豆沼・内沼環境保全財団)
ハクチョウ類の状況(小西敢 浜頓別水鳥観察館)


新技術を使ったガンカモ調査

広い湖沼のガンカモ類をドローンで数える(神山和夫 バードリサーチ)