2017年12月24日日曜日

『緑と水のひろば』№90に「清澄庭園の野鳥20年」が紹介されました

  
公益財団法人 東京都公園協会の広報誌『緑と水のひろば』最新号、№90WINTER 2018〕に、当会探鳥地のひとつ、清澄庭園(江東区清澄)の野鳥のようすが載りました。執筆者は、月例探鳥会担当者のひとりの遠藤源太さん。
遠藤さんは、ここ20年来の鳥のようすを写真やグラフで紹介しています。それによると、見られるのはふつうの野鳥ばかりですが、ユリカモメやアオサギ〔写真・川内博氏撮影〕、キンクロハジロ、ホシハジロ、カワセミなどの水鳥がまぢかに見られるのが特徴とのこと。実際、アオサギはびっくりするくらいすぐそばまで近づいてきます。また、かつては生息していなかったキツツキのなかまのコゲラが繁殖をはじめたそうです。
しかし、20年間の変化を見てみると、年間種類数は1996(平成8)年には最高45種見られていたのが、2013(平成25)年以降は約35種と10種くらい減っているとのこと。一方、年間個体数はユリカモメ飛来数の増減で大きく変化しますが、平均すれば約4000羽で、あまり変化していないとのことです。

清澄庭園は、緑地の少ない東京下町にあり、オアシス的な存在。ここでの月例探鳥会の記録は、日本野鳥の会東京から発行された『東京の野鳥たち~月例探鳥会7か所・20年間の記録~』のなかに収められていて、都市環境の変化を知るひとつのデータとして貴重なものです。

同園での探鳥会は、毎月第3土曜日の午後220分~430分ごろまで開かれていて、参加費200円〔保険・資料代、入園料は別途必要〕で、だれでも参加できます。興味ある方は、午後2時過ぎごろに、園入り口にお集まりください。双眼鏡をくびから下げた遠藤さんたちスタッフがお待ちしています。

2017年11月20日月曜日

ミヤコドリが10メートルまで接近・11月16日三番瀬にて

  
今秋10月から始めた三番瀬でのミヤコドリ探鳥会。2回目は1116日(木)、午前10時~午後2時までの4時間。やや北風は強いものの青空のもと、ミヤコドリの行動を観察しました〔写真・松平晶子氏撮影〕。
潮は中潮で、12時ごろが干潮。沖の潮間帯で採食していた数は約320羽。そのうち約半数は満腹になったのか浜の東側の突堤方向に移動。残り150羽が満ち潮とともに、岸に近づいてきました。
いつもは数人がミヤコドリを追っていたカメラマンは1人だけ。それも昼過ぎにはいなくなり、また、3~4人いた貝掘り人も立ち去り、浜にはわれわれ8名だけ。岸で潮が満ちるのを待っていると徐々に近づいてきて、数羽が10メートル先の潮だまりまでやってきました。
彼らが“何を・どうやって食べるか”の観察をメインテーマとしての探鳥会。3回目は1215日(金)午前10時にふなばし三番瀬公園バス停にご集合ください。参加費200円。
〔バスは、京成船橋駅南口93分始発ふなばし三番瀬公園行。このバスには917JR京葉線二俣新町駅近くのバス停で乗れます。〕

2017年10月30日月曜日

室内例会・伊豆諸島の繁殖鳥の今・11月19日原宿で

  
今春からNPO法人・バードリサーチが中心になって、「東京都鳥類繁殖分布調査」が行われています。その一環として、初めて伊豆諸島での調査が行われました。当初は数年かかると思われていましたが、ボランティアの皆さんの強力な推進力で、多くの島で調査が終了しました。 今回はその結果報告会を、バードリサーチと日本野鳥の会東京の共催で下記の内容で開きます。
その際、伊豆諸島のひとつの御蔵島での深刻な話を聞いていただいて、皆さんのお力を貸してほしいということで、講演会も企画しました。ぜひご来場ください。

               記

    講 演:「ネコ問題」に悩む御蔵島のオオミズナギドリ
       岡 奈理子氏(山階鳥類研究所)
報 告:(1)伊豆諸島調査の全体の状況
      (2)伊豆諸島各島の繁殖状況
交流会:フリートーキングで各島のようすや魅力を語り合う

日時:20171119日(日)午後115分開場、1時半~4時半
会場:渋谷区立神宮前穏田区民会館1階集会場〔地図参照〕
交通:東京メトロ千代田線・副都心線「明治神宮前駅」下車、
         7番出口すぐ JR山手線「原宿駅」下車、徒歩6分。
   明治通り沿いで、都バスも便利。
  参加費:300円      ※どなたでも参加できます。


2017年10月16日月曜日

ミヤコドリ探鳥会に参加しよう・第1回・10月18日・三番瀬で

  
ミヤコドリ は、日本には1000羽程度しか飛来しないチドリのなかまです。千葉県船橋市・市川市の東京湾に面する干潟「三番瀬」には400羽近くが飛来しますが、その生態についてはまだわかっていないことが多い鳥です。日本野鳥の会東京・研究部では、数年前からその解明に着手していますが、今冬から「食べ物」に焦点をあてて、その実態を調べることになりました。
Oystercatcher」の名の通り、カキ(牡蠣)が大好きなようで、三番瀬のカキ礁で採餌しているのをよく見かけますが、それ以上に砂地の潮間帯での二枚貝の採食を見かけます〔写真〕しかし、しっかりした観察例が少なく、まだ調査なかばといったところです。

そんなミヤコドリを専門に観察しようという探鳥会が、1018日(水)・1116日(木)・1215日(金)に三番瀬で開かれます〔日本野鳥の会東京主催〕。集合はいずれも午前10時、ふなばし三番瀬海浜公園前バス停。解散は午後2時ごろ現地。少雨決行。参加費200円。必要に応じて水辺も歩きますので、それに適した靴(長靴など)の用意を。また、昼食・飲み水などもご持参ください。
日ごろの探鳥会と違い、超望遠レンズ歓迎です。ミヤコドリが何を捕っているのか・食べているのかしっかり観察・記録する探鳥会です。

2017年10月9日月曜日

分布を広げている東京平地部のウグイス

  

『モニタリングサイト1000 陸生鳥類調査 情報  20179月号 Vol.9 No.1』という6ページのカラーのニュースペーパーが手元に届きました。そこには、このブログを見ている人には興味ある情報が多数載せられていました。調査は通称『モニ1000』とよばれる一連の全国調査のひとつで、「森林・草原」を対象とした調査のようすを知らせるものです。

その中で、とくに注目すべき報告がありました。「モニ1000サイトとは異なりウグイス増加?~全国・東京都鳥類繁殖分布調査から~」というもので、東京都での分布状況が地図化されています〔図〕。それによると、モニ1000の調査では、シカ増加の影響のためか、ウグイスの減少が指摘されているが、東京都内では市街地の公園や河川敷、雑木林などで分布が広がっているというもので、これまでの研究部の調査が裏付けられるような結果です。ちなみに、新宿御苑での繁殖も今年確認されました。

「モニタリングサイト1000 調査研修会」が122日(土)~3日(日)に、日本野鳥の会事務所および自然教育園で開かれます。参加対象は調査に興味のある方(経験不問)とのことです。興味ある方は、日本野鳥の会モニタリング1000担当者へ

「モニ1000」情報を知りたい方は、「環境省 自然保護局 生物多様性センター」にアクセスするとでバックナンバーを見ることもできます。


2017年9月22日金曜日

当会月例探鳥会データを使って「オオタカ研究」を 日本鳥学会大会で発表

  
日本鳥学会大会の2017年度大会が、915日~18日茨城県つくば市の筑波大学で開かれました。台風18号の通過で天候が危ぶまれましたが、直撃ではなかったので、予定通りで終了しました。
さて、この大会には今年も全国から571名の参加があり、口頭発表63件・ポスター発表135件・高校生(小・中学生)ポスター発表9件、自由集会13件と盛りだくさんで、そのうえ、公開シンポジウムも組まれていているので、到底4日で全部を見聞きすることはできませんでした。
この会の特徴はアマチュアが頑張っていることと、若者が多いということ。その結果“活気がある”ということです。学会といっても誰でも会員になれます。ちなみに来年は新潟市でほぼ同じ日程で開かれます。

 ところで、今回の発表の中に『超市民データ「探鳥会」の記録から読み解く 東京都心とその周辺におけるオオタカの都市進出状況』というポスター発表がありました。発表者は明治神宮探鳥会でリーダーとして頑張っている水村春香さん。〔写真〕 水村さんのライフワークのオオタカ研究の一環として、日本野鳥の会東京の月例探鳥会10か所のデータを解析して、オオタカが郊外から都心へ進出してきた過程と、その要因について追及した力作。

探鳥会の成果が活用された事例として、今後『ユリカモメ』にも発表してもらいたいと思っています。乞うご期待。   

2017年9月6日水曜日

タカの渡り in Tokyo・陣場山山頂で秋のサシバ等の渡り調査 参加のご案内

  

八王子の八王子・日野カワセミ会が陣馬山山頂での秋のタカの渡り調査を実施していて、協力者を求めています。〔写真は、ハシブトガラスに追われるサシバ・自然教育園にて〕
同会では1996年から毎年タカの渡りを観察し、羽数をカウントしています。2010年からは松竹公園西(八王子市下恩方町)、陣場山山頂(上恩方町)、城山湖ダムサイト(相模原市)の3か所で行っています。
観察時期は9月下旬から10月上旬までの連日で、カワセミ会の会員有志が都合のつく日を事前登録して作成された日程表に基づいて実施。しかし、3か所の観察地のうち、陣場山山頂は現地までのアクセスが他の2か所と比べると利便性を欠くため参加者が少なく、観察者が誰もいない空白の日が生じることがあります。
そこで、今年から日本野鳥の会東京・研究部の協力を得て陣場山山頂で以下によりカウントを行うこととしました。タカの渡りに興味のある方の参加を期待しています。

 実施時期917日(日)~109日(日)までの間
実施時間帯830分頃から14時頃まで(この間の適当な時間でよい)
調査内容:陣場山山頂付近を通過するサシバ他渡りの鷹をカウントする。ツバメ、アマツバメ類、ヒヨドリ等の渡りもカウントする。
調査方法:双眼鏡(必須)あればフィールドスコープで出現するタカ等を識別してカウントし、結果を記録する。当日の参加者が複数の時は、協力してこのカウントを行う。
結果の報告と記録の共有:八王子・日野カワセミ会のHP担当者にその日うちにeメール(又は電話)で報告する。報告された結果はHPにアップされるので記録が共有される。
参加の事前登録(問合せ):参加される方は事前に粕谷和夫(日本野鳥の会東京会員、八王子・日野カワセミ会会長)にはがき(192-0074八王子市天神町3-6)又はeメール(kasuya.kazuo688@gmail.com)で参加予定日を連絡する。事前に登録された会員には調査実施要領、結果報告様式、日程表を送付する。
なお、2016年までのカウント結果はカワセミ会のHPで閲覧できる。
http://kawasemi.fan-site.research/sasiba/hawk2016.htm

2017年8月18日金曜日

外来ネコ問題研究会主催連続シンポジウムのご案内

  
             野鳥を狙うネコの図

シンポのチラシは以下のURLから

《 第5回 島のネコ問題-各地の事例に学ぶ- 奄美・御蔵・小笠原・沖縄.みんなで考えよう! ネコ問題と生態系そして人のこと!! 》

主催: 外来ネコ問題研究会
後援: 環境省自然環境局, 鹿児島県, 奄美市, 一般社団法人日本哺乳類学会, 日本鳥学会鳥類保護委員会, 奄美ネコ問題ネットワークACN[一般社団法人奄美猫部,NPO法人奄美野鳥の会,奄美哺乳類研究会], NPO法人徳之島虹の会, 一般社団法人御蔵島観光協会.
協力: 早稲田大学野生動物ゼミ 助成: 公財 自然保護助成基金(PNF

●日時:2017826日(土)12:30開場、13:00開演  18:00終了予定
●会場:早稲田大学 (早稲田キャンパス3号館601教室,収容人数207名).〒169-8050 新宿区西早稲田1-6-1
●交通: 地下鉄東京メトロ東西線早稲田駅から徒歩5;  JR山手線高田馬場駅前 都バス学02(学バス)  早大正門; 都電荒川線早稲田駅から徒歩5;  JRもしくは西武鉄道新宿線高田馬場駅から徒歩20
●内容:
1.シンポジウムの趣旨説明・司会 森林総合研究所 山田文雄
2.各地の事例報告(影響,対策,課題)
 1)奄美大島・徳之島における野生化したネコの問題  奄美野生動物研究所 塩野崎和美
 2) 奄美大島のネコ問題の実状と課題  奄美ネコ問題ネットワーク(ACN) 久野優子
 3)東京都の秘境 御蔵島: 出口がみえないノネコ問題  山階鳥類研究所  岡 奈理子
 4)小笠原のネコ対策 崖っぷちから脱した10年の取り組みと新たな挑戦 NPO法人小笠原自然文化研究所 佐々木哲朗
 5) ノネコがいないネコの島: 西表島からの現状報告 NPO法人どうぶつたちの病院沖縄 長嶺 隆
3.ネコ問題 どうしたら解決できる?〜間違った飼育はネコを不幸にする〜 NPO法人どうぶつたちの病院沖縄 長嶺 隆
4.全国に広がりを見せるネコ問題を法解釈学的に、また公共政策学的に総括する 神奈川大学法学部 諸坂佐利
5.コメンテーター 東京女子大学 石井信夫
 休憩
6.パネルディスカッション
連絡先・事務局:invasivecatrj@gmail.com
【外来ネコ問題研究会】https://invasivecatresearchjapan.blogspot.jp/


2017年8月14日月曜日

研究部8月例会・ビデオ作品鑑賞会を実施

  

連日の猛暑が噓のような涼しい曇り空の811日の午後5時。日本野鳥の会東京・研究部8月例会の議題として、会員の難波誠一さんのビデオ映像を1時間鑑賞しました〔写真〕。1997年~2014年の間に、東京一帯の探鳥地20か所で撮影された、珍鳥を中心とした55種の映像で、鳥の行動や鳴声などの記録を大事にされる同氏の姿勢から、図鑑や写真では読み取れなかったことがいくつも見つかりました。難波さんは、映写しながら、自分の観察や撮影時のようすなどを静かに語られました。

見終わったあと、印象に残ったシーンとして、参加した川内桂子さんからは「カラシラサギの採餌行動がコサギに似ているというのですがコサギよりも素早く見えました。今度コサギに出会ったらゆっくり観察して比べてみたくなりました。」、「アオシギがヤマシギと全く違う歩き方なのには驚きました。外見はそっくりでも、全く違うとは。」、「サンカノゴイはどこにいるかわからないので、居そうな場所に向けて長時間撮影をし、その後、早送りをして見ると不思議なことに見えてくるというのは面白かった」などが寄せられました。また、葛西臨海公園での探鳥から駆けつけた田久保晴孝さんは、「ウミネコばかりでもうシギ・チはいない」と寂しそうに語っていました。12羽の珍鳥でなくて、もっと広大な湿地回復で何千何万という渡り鳥を呼び戻す日本独自の地球規模のプロジェクトはないのでしょうか。

とりあえず、これまで撮られた過去の野鳥の記録・観察の蓄積などのレガシーを保存・保管し、有効な活用法を考えるための第一歩の試み。短時間に沢山の種を観察できる有意義なビデオ鑑賞でした。改めて、話題提供者の難波さんに感謝の拍手をお送りします。

2017年7月22日土曜日

都内のムクドリのねぐらは?・⑦            共存の道は?

  

ことしも“駅前ムクドリねぐら騒動”の季節となりました。都内のねぐら地の検証を進めていますが、昨年、ムクドリ専用の“新兵器”でかく乱された東京メトロ東西線・西葛西駅南口広場には、719日夕方、目測3000羽が集まっていました。〔写真〕
「ムクドリが嫌う周波数の音を流して、ねぐらの木に止まらなくする」ということで、その機器は各地のねぐらに設置され、当初は抜群の効果を示しますが、時間がたつにつれて“残念ながら”の結果に終わっているようです。西葛西駅前も、昨年の後半と同様なんの効果もなく、鳴声騒音といつ落ちてくるかわからない糞の問題をかかえて、午後7時過ぎには広場一帯の街路樹のなかに収まってしまいました。

720日の夕方訪れたJR八王子駅北口から続く大通りにも、今年は人工合成音が流れていました。ムクドリの動きは、昨年同様まず近くの電波塔などに集まり、次いで大手家電店の屋上に移り、1000ルクスを切るころから街路樹におり始め、500ルクスくらいで大半がマロニエの並木に収まりました。その間、複数台設置された“新兵器”は、時間差攻撃で鳴っていましたが、西葛西駅前同様、まったく効果なく、最大85デシベル(dB)以上の音が鳴り続けていました。

その足で、今夏変化があったという京王線・聖蹟桜ヶ丘駅の状況を調べてみました。情報通り、ねぐらの中心地であった商業ビル・せいせきB館とC館をつなぐ歩道橋周辺には1羽のムクドリもいず、昨年から設置された機器が、八王子と同じ音を流していました。しかし、そこから200m離れた街路樹には数100羽のムクドリの鳴声がしていました。
それを確認して、移った先ではないかという同じ路線の分倍河原駅の周辺を調べてみました。ここは前2駅と違い、にぎやかな飲食店通りが1本あるだけで、“人通りが大好き”な都会派ムクドリのねぐらには適地ではないと思われ、姿も鳴声も確認できませんでした。

 ムクドリのねぐら形成については“定説なし”が現状です。さまざまな嫌がらせをしても立ち退かなかったのが、ある日突然原因不明でいなくなることもよくあります。しかし、いなくなったのはその場所だけのことで、その群れは移ったどこかで新たなトラブルが生じている可能性大です。40年来解決できない難問のとりあえずの答えは“消滅させることは不可能・共存する道を捜すのがベスト”。〔日本野鳥の会東京・研究部〕

2017年6月24日土曜日

神津島の野鳥・繁殖調査の結果速報

  
  東京都鳥類繫殖分布調査として、伊豆諸島・神津島の調査が行われました。調査は5月末~6月初めに実施され、25種が記録されました。一番多かった鳥はウグイスで、ヒヨドリ・メジロ・ヤマガラの4種でほとんどが占めていました。しかし、カラスバト、イイジマムシクイなど、本土ではほとんど見られない鳥も認められました。また、島の北部、つづき沢一帯ではミゾゴイ・サンコウチョウ・キビタキなどが記録されました。ホトトギスが終日大きな声で鳴きながら飛び回っているのも印象に残りました。

ところで、この島の鳥の特徴として知られているのが「亜種ナミエヤマガラ」。ヤマガラの一亜種として、この島や新島などでその生息が知られていますが、オーストンヤマガラのように一目見てわかるほどの違いはなく、その識別は目視や写真などでは困難なようです。とりあえず、神津島で撮ったヤマガラの写真をあげておきます〔写真〕。

【神津島の野鳥・記録一覧】カラスバト、ウミウ、ミゾゴイ、ササゴイ、ホトトギス、アマツバメ、メリケンキアシシギ、ウミネコ、トビ、サンコウチョウ、ハシブトガラス、ヤマガラ、シジュウカラ、ツバメ、ヒヨドリ、ウグイス、オオムシクイ、イイジマムシクイ、メジロ、オオヨシキリ、イソヒヨドリ、キビタキ、スズメ、ハクセキレイ、ホオジロ
                         (川内

2017年5月26日金曜日

自然教育園と新宿御苑、ヤマガラの繁殖確認・ウグイスは?

  

  以前からその繁殖に注目している東京都心部でのヤマガラとウグイスの繁殖。ヤマガラについては、親と行動を共にする「巣立ちビナの確認」という形で、この5月に自然教育園(港区)と新宿御苑(新宿・渋谷区)で記録しました。両園とも生息自体は以前から認められていましたが、“確実に繁殖しているという証拠は見つかっていませんでした。

一方、ウグイスについては、今年も新宿御苑の2か所で囀っています。昨年は、秋の園内の手入れの際に、古巣がないか気をつけてもらったのですが、残念ながら朗報は聞けませんでした。戦前は明治神宮などでの繁殖が記録されていますし、日本各地の平地部でふつうに生息し、東京でも郊外の川沿い・海沿いの草原では“越夏”が記録されていますが、どこも「繁殖確認」はできていません。

それにしても、新宿御苑のウグイスはよく囀り・動き回ります【写真】。この行動が何を意味するのか、また、“一夫多妻”といわれているウグイスですので、複数個体がいるのか調べていますが、今のところ1羽しか確認できていません。

交通の便のよい新宿御苑ですので、機会があったら立ち寄ってみて、繁殖にかかわる観察をされたら、ぜひ研究部あてお知らせください。                           〔日本野鳥の会東京・研究部〕  

E-mailofficeyacho-tokyo.org <送信の際に★を@に変換してください>

2017年5月15日月曜日

東京都鳥類繁殖分布調査 現地調査とアンケート調査

  
現地調査〔本土部のみ〕
1.参加者登録:下記にアクセスして「登録」をお願いします。
2.調査地登録:調査可能な場所を登録してください。
3.調査のための準備:調査コースを事前に確認してください。
4.現地調査:調査は「同じコースで1週間以上間をあけて2回」実施 
 23区・多摩地区などは5月初旬~6月下旬の朝430分~9
奥多摩地区は5月下旬~7月下旬の朝5時~9
5.調査結果:終了後、結果を所定のアドレスに送信してください。

アンケート調査
現地調査を引き受けるのは難しいけど、ぜひ参加・協力したいという人は多いと思います。そんな方が積極的に参加できるのが「アンケート調査」です。対象期間が2016年~2020年です。日ごろ観察したことや文献上の情報など、すべてアンケート調査の対象となります。詳しくはウェブサイトをご覧ください。
http://www.bird-atlas.jp/tokyo/


2017年4月30日日曜日

東京都鳥類繁殖分布調査・5月1日より現地調査

  

51日から東京都鳥類繁殖分布調査の現地調査が始まります。1970年代・1990年代に続き、3回目の調査ということになります。今回の調査の第一の特徴は“民活”です。東京都全域の調査をNGOの力で実施できるとは、以前は考えられませんでした。今回は東京都からの要請ではなく、鳥の団体が独自に企画し、民間の助成資金を獲得しての実施です。

今回の特徴の第二は「島しょ部の調査」です。この調査は今まで本土部だけでしたが、今回は伊豆諸島の9つの有人島の全メッシュを調査するということです。全島での繁殖調査となると、約半世紀前の1970年代の樋口広芳氏の記録以来となります。さらに小笠原諸島でも現地の研究者・ナチュラリストが立ち上がり、同時並行で調査をすることになりました。415日と22日の夜に「島しょ部調査・決起集会!」が、日本野鳥の会東京の事務所で開かれ、30名以上の調査者が集まりました。〔写真〕
詳しくはホームページを http://www.bird-research.jp/

2017年4月9日日曜日

エナガの話題・その2 千葉の「顔の白い]エナガ

  

  当ブログの前回(331日付)は「東京都心部でのエナガの繁殖・真っ最中」というタイトルで、山の手地域の緑地では広く繁殖するようになっていることを紹介しましたが、日本野鳥の会東京の月例探鳥地のひとつ、千葉県習志野市の谷津干潟周辺には「顔の白い」エナガが観察されています。日本野鳥の会千葉県の会誌『ほおじろ』4月号に、「顔白エナガ観察例 上」という記事が載っていました。

これは、昨年4月、同誌が観察記録の報告を呼びかけ、それに応じて県内各地から「顔の白いエナガ」の写真が寄せられたもので、4ページにわたって19点が載せられています。撮影場所は、千葉市、四街道市、松戸市、柏市、八千代市、我孫子市、佐倉市ですが、タイトルが「上」となっていますので、続きがあると思われます。「顔の白い」エナガが千葉県内のどのあたりまで生息するのか興味深いところです。

写真を見ると、その「顔白」の度合いはさまざまで、北海道にすむ「シマエナガ」並みの個体の写真もあります。私が谷津干潟や松戸の江戸川沿いで見たものもさまざまで、同じ群れの中に、普通のエナガと同じパターンのものと白っぽいものも混じって行動していました〔写真〕。東京都内では、今のところ、「顔白」タイプは見ていません。

そもそもこの顔白エナガがなにものなのかは、まだよくわかっていません。とりあえず、北海道に分布する別亜種シマエナガに模して“チバエナガ”と命名していますが、その解明にはDNA解析など専門的な研究が必要のようです。

それにしても、東京では武蔵野から広がっている「生息分布拡大」と、お隣の千葉での「顔白」個体の発見経過は同じような時期で、エナガの世界になにか起こっている可能性もあります。

東京のエナガの分布拡大は、近いうちに下町まで広がると思われ、そのうち、千葉の顔白エナガと接触する可能性があります。今後どんな話に発展するか、これも興味深いところです。     〔川内 博〕                                                                                                 

2017年3月31日金曜日

東京都心部でのエナガの繁殖・真っ最中

  

  東京都心部の緑地でエナガが繁殖し始めて10年近くになります。これまで、明治神宮(渋谷区)や自然教育園(港区)、小石川植物園(文京区)での繁殖が確認されていますが、今年は小石川後楽園や六義園(いずれも文京区)のような日本庭園タイプの公園でもペアでの生息が観察されています。それも数つがい。“山の手”台地にはすっかり定着したようです。今後は、浜離宮庭園(中央区)や清澄庭園(台東区)などの“下町”の緑地に進出するのがいつか興味深いところです。もし、すでにそれらの場所で確認されている方がいましたら情報をお寄せください。

早春に繁殖するエナガはいま巣造りの真っ最中〔写真〕。なかには“桜の銘木”の木の股に毎日数千人の来園者に見られながら造巣をした夫婦もいました。しかし、数日後つぼ型の巣造り途中の巣が枝にぶら下がっていました。興味本位でカラスがちょっかいを出したのでしょうか。もっとも、しぶとい彼らは、また新しい巣を造って、数週間後にはかわいいヒナたちが生まれてくるでしょう。                 〔川内