2016年2月27日土曜日

ミヤコドリの生態研究をはじめます・日本野鳥の会東京研究部

  
ミヤコドリHaematopus ostralegus は、冬鳥として、日本各地の水辺にごく少数飛来するチドリのなかまで、ハトより大きく、写真〔川内 博氏提供〕のように嘴の朱色が目立ちます。漢字では「都鳥」、英名はEurasian Oystercatcherこの鳥を見たければ、東京湾の三番瀬(千葉県船橋市・市川市)に冬に行けば、いつも見られるというのは、東京圏のバードウオッチャーの贅沢。全国的には“珍鳥”で、三重県で100羽程度が群れで見られるほかは、全国の海岸に110羽程度が点在しているという状況です。

三番瀬では1980年代から観察記録はありますが、冬期に連続的に観察されるようになったのは1992(平成4)年ころからで、それ以来年々数が増えて、今冬は400羽に迫る状況です。しかし、なぜ越冬地となったのか、どこで繁殖しているのか、なにを食べているのか、行動範囲はどの程度なのかなど、その生態についてはいままで調べられたことがありません。実際、三番瀬・葛西海浜公園などではよく見かけますが、東京港野鳥公園や谷津干潟、行徳鳥獣保護区などには飛来しません。
なぜ?という質問に、明確に答えられる人は誰もいないのが実情です。

そこで、日本野鳥の会東京・研究部では、「ミヤコドリ研究会」グループを立ち上げて、その生態を調べ、保護のための研究をすることになりました。メンバーは、従来の研究部の範ちゅうを超えて、東京湾の水鳥に関わる人が参集しています。最新の機器を用いて、いろいろな手法でその実態を解明する予定です。 
興味ある方は、日本野鳥の会東京・研究部へご連絡ください。

2016年2月17日水曜日

今冬も健在 西新宿・ルミネ1のハクセキレイのねぐら

  
           

いま東京・新宿駅南口は大変身をしようとしています。甲州街道をはさんでJR新宿駅が拡大し、この4月には、新築の32階建てのビルも開業するようです。そんな活気に満ちた一角の西新宿1丁目交差点に面して建つのは、若い女性に人気のあるファッショナブルなビル「LUMINE1」〔写真・上〕。そのビルの正面外壁の中ほどには、小さな孔がたくさん開いた飾りの部分があります。
夕方、薄暗くなると、孔付近で動く小さな鳥影多数。その主はスズメより少し大きいハクセキレイ(白鶺鴒・White Wagtail)たちの群れで、一夜の宿をとるため毎夜集まってきます。鳥たちが夜過ごす場所を「ねぐら」といいますが、ハクセキレイは数十羽~数千羽が集まって「集団ねぐら」をつくります。

この場所で、ハクセキレイがいつからねぐらとするようになったのかは不明ですが、少なくとも30年前からあることは知られています。この冬も100羽以上が孔のひとつ一つでねぐらをとっています〔写真・下〕。そんな場所に小鳥が宿をとっていることなど、交差点をわたる大勢の人は想像もしないでしょう。              〔川内 博〕