2011年6月28日火曜日

東京港一帯の水鳥とその保護・保全活動を始めます

  

 日本野鳥の会東京・研究部では、今年初めに、月例研究部例会 (通称月例会) として、「フリートーキング・東京湾の野鳥調査の現状と将来を考える」(1月14日)、「いま東京湾の水鳥は-シギ・チドリ類報告会」(2月11日) をそれぞれ17名・16名の参加を得て開き、活発な討議を行いました。
 そして得た結論のひとつとして、とりあえず、東京湾のなかで東京都に属する区域 (東京港・葛西などで、この地域を「東京港一帯」とする ) の水鳥と水辺環境について、過去の記録も含めて集約するとともに、毎冬数千羽が越冬しているカンムリカイツブリ〔写真・川内博氏提供〕や数万羽が記録されているスズガモを中心に、その生息状況の記録と越冬地としての環境を整える作業をしようということになりました。
 とくにカンムリカイツブリ がこれだけの数が集結する海域は少ないのではないか、また、両種ともラムサール条約の登録基準を満たしているので、世界的にみても貴重な越冬地として、それなりの対処が必要であるという意見が出ました。これらのことを軸に、下記の予定で集まりを開催します。

【日時】2011年7月8日(金) 午後6時30分開場、7時~9時
【場所】日本野鳥の会東京・事務所〔会場地図は本ブログ2月3日に掲示〕
【内容】東京港一帯の水鳥と水辺環境の保護研究・今後の活動について

2011年6月18日土曜日

八王子市犬目の野鳥・20年間の観察記録を発表

  

八王子市犬目は、市の北に位置する丘陵地帯で、調査地は標高140~200m。ここ20年間に環境は大きく変化し、それにともなって生息鳥類も変化しています。著者・吉邨隆資氏は、学生時代のから、畑や雑木林、水田が残るこの地でロードサイドセンサスを続け、途中中断はあったものの現在も続けていて、このたび1989(平成元年)~2009(平成21)年までの記録をまとめ、A4判・40ページの報告書『八王子市犬目の野鳥 20年間の観察記録』として発行されました。
観察された野鳥は13目36科90種で、内容的には、優占順位の個体数では、ヒヨドリ>スズメ>メジロ>シジュウカラ>エナガ、出現頻度では、ヒヨドリ>シジュウカラ>スズメ>ハシブトガラス>メジロと、関東地方の郊外ではふつうの記録ですが、ここ数十年来、日本各地の都市近郊で起こっている環境変化と生物の関係が、20年間の時の流れの中で、具体的な数字としてとらえることができます。
たとえば、ガビチョウという中国原産の移入種が、いつの時期からこの地に現れ、その後勢力を増していくようすが記録〔表〕から読み取れます。また、「畑の鳥」といえるヒバリが1990年初めに姿を消したり、ホオジロが年を追うごとに数が減らしていくようすがわかります。さらに、まとめとして、個体数と種数の変化のグラフや土地利用の年代別変化の分析などもあり、この地の鳥相の変化を知ることもでき、重要な文献となっています。ところで、最近東京の市街地でホトトギスの記録が増えていると聞きますが、ここのデータでも表れています。ウグイスの平地進出と相関関係があるのではなどと、いろいろ深読みもできる貴重なデータ集です。

2011年6月6日月曜日

第1回アカコッコの保護研究会を開催します・6月10日

  

東日本大震災のために延期していました「アカコッコの保護研究会」の1回目を、6月10日(金)午後7時~9時に、日本野鳥の会東京の事務所で開きます。4月下旬に八丈島でのアカコッコの生息調査も実施しましたので、今回はその報告会もかねています。保護研究といっても、まだ何をすべきか・何ができるのかといった段階ですので、参加された方からの経験やアイデアなどを柔軟に組み入れながら、方向性を決めていきたいと思っています。
ところで、今回八丈島を訪れて、いまさらながら気づいたことは、「八丈島は伊豆諸島の主」ということ。野鳥の面からいえば「三宅島が宝庫」と思いがちですが、八丈島のほうが大きいだけに、島内にさまざまな環境があり、見どころが多いということです。アカコッコの数も三宅島に匹敵するのではないかという印象を持ちました。〔写真は島内でもっとも自然環境が良好な鴨川林道〕
今回の研究会では、もう一つ、「八丈島と三宅島のアカコッコの囀りが違うという問題」にも触れたいと思っています。
八丈島や伊豆諸島の鳥や自然に興味のある方はご参加ください。
【日時】2011年6月10日(金)午後6時30分開場、午後7時~9時
【会場】日本野鳥の会東京・事務所〔新宿・花園神社近く・明治通り沿い〕
    ※2月3日付けの本ブログに会場案内地図を掲載