2011年6月18日土曜日

八王子市犬目の野鳥・20年間の観察記録を発表

           

八王子市犬目は、市の北に位置する丘陵地帯で、調査地は標高140~200m。ここ20年間に環境は大きく変化し、それにともなって生息鳥類も変化しています。著者・吉邨隆資氏は、学生時代のから、畑や雑木林、水田が残るこの地でロードサイドセンサスを続け、途中中断はあったものの現在も続けていて、このたび1989(平成元年)~2009(平成21)年までの記録をまとめ、A4判・40ページの報告書『八王子市犬目の野鳥 20年間の観察記録』として発行されました。
観察された野鳥は13目36科90種で、内容的には、優占順位の個体数では、ヒヨドリ>スズメ>メジロ>シジュウカラ>エナガ、出現頻度では、ヒヨドリ>シジュウカラ>スズメ>ハシブトガラス>メジロと、関東地方の郊外ではふつうの記録ですが、ここ数十年来、日本各地の都市近郊で起こっている環境変化と生物の関係が、20年間の時の流れの中で、具体的な数字としてとらえることができます。
たとえば、ガビチョウという中国原産の移入種が、いつの時期からこの地に現れ、その後勢力を増していくようすが記録〔表〕から読み取れます。また、「畑の鳥」といえるヒバリが1990年初めに姿を消したり、ホオジロが年を追うごとに数が減らしていくようすがわかります。さらに、まとめとして、個体数と種数の変化のグラフや土地利用の年代別変化の分析などもあり、この地の鳥相の変化を知ることもでき、重要な文献となっています。ところで、最近東京の市街地でホトトギスの記録が増えていると聞きますが、ここのデータでも表れています。ウグイスの平地進出と相関関係があるのではなどと、いろいろ深読みもできる貴重なデータ集です。

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