2011年1月30日日曜日

ガンカモ類調査交流会・講演会のご案内

  

東京一帯からカモが激減しているという話は、日本野鳥の会東京が主宰している「カモ類を中心とした越冬鳥調査」で明らかになっています。例えば、上野・不忍池は往時には8000羽ものカモ(おもにオナガガモ・キンクロハジロ・ホシハジロ)が池いっぱいに埋め尽くしていましたが、いまは、その10分の1以下で、当時を知る人から見るとさびしい限りです。同じような現象は、いわゆるカモの名所呼ばれた水辺で見られ、東京23区10池での数が多いカモの10年ごとの個体数合計の推移をグラフ化すると明らかです〔図・『私たちの自然』№533から〕。
 この現象についての総合的な検討は、2005・2006・2007年に実施した、当会主催の「とうきょうのカモ・シンポジウム」で環境別に行い、減少の実態を明らかにするとともに、分析も試みました。まだ、はっきりしたことはいえませんが、東京都を中心とした埼玉・千葉の市街地では同じような傾向を見られますが、神奈川や茨城あたりでは明瞭ではないとのこと。また、環境省が毎年実施している、いわゆる「ガンカモ調査」では、全国的に見れば増減なしとなっていますので、渡来するカモの数は変わらずに、局地的に減少している可能性があります。同じように激減している「カモの名所」は、石川や宮崎からも聞いています。それらを総合すると、「減った」のではなく、「散った」という推測も浮かびあがっています。
 ところで、環境省・NPO法人バードリサーチほかの主催で、モニタリング1000・ガンカモ類調査交流会「東京湾のガンカモ、いまむかし」という集まりが、下記の要領で開かれます。興味ある方は、下記のウェブサイトにアクセスしてください。
【日時】2011年2月27日(日)午後1時半~4時30分 【場所】千葉県習志野市・谷津干潟自然観察センター【詳細・問合せ先】http://www.bird-research.jp/1_event/gankamo2010/gankamo201101yatsu.html

2011年1月26日水曜日

東京都心部に定着するエナガ・新記録募集中

  

 体重9g、全長14㎝、その半分以上が尾という小さくかわいい小鳥・エナガ。九州以北の森や林で一年中ふつうに見られ、シジュウカラやヤマガラ、メジロ、コゲラなどと混群をつくり、枝や葉についた小さな虫や幼虫、卵など、木の実をつついたりしながら、ジュリ・ジュリと声を出しあい、木々の間を移動していきます。その姿を活写した中村登流著『森のひびき』(大日本ジュニアブックス)は名著として知られています。まだの方はぜひご一読を。
 全国的には普通種のエナガが、どうしたわけか戦後、東京の平地部にはまったく生息していませんでした。「東京には緑が少ない。森林性のエナガがいないのは当然」とあまり気にしていませんでしたが、1980年代から小金井市や府中などの平地の緑地で定着するようになり、21世紀にはいると、練馬や杉並、板橋などの23区内でも姿を見せ、繁殖するようになっています。昨年からは明治神宮(渋谷区)や自然教育園(目黒区)などの都心部にも進出してきました。〔地図・東京都の地勢とエナガの繁殖分布図中の白い△印〕。
 ヒヨドリ・コゲラ・ツミ・オオタカと、1970年代から森林性の鳥の進出・定着が次々に見られている東京の市街地。我々が思っている以上に「森の都」のようです。エナガの新記録がありましたら、日本野鳥の会東京・研究部あてにお知らせ下さい。

2011年1月24日月曜日

第10回研究部月例会へのご案内・2月11日

  

毎月第2金曜日の夜に開いている月例研究部例会(通称・月例会)を、2月11日(金・祝)夜7時~9時に、日本野鳥の会東京事務所で開催します。今回のメインテーマは「東京湾の水鳥」。東京港野鳥公園のシギ・チドリ、激減するシロチドリ、オーストラリアで越冬するシギ・チドリといった話が予定されています。〔写真・標識されたハマシギ〕
2月の月例会を開くにあたって、1月14日に関係者が集まって現状を検討しました。その中で、葛西沖のスズガモやカンムリカイツブリの数は、ラムサール条約に登録する基準に達しているとの報告があり、東京湾の水鳥の保護活動にひとつの目標が見えてきました。また、東京都が水鳥の調査を定期的に実施していることなどもわかってきました。
いずれにしても、まずは正確な情報を多くの人が知る必要があります。今回、現地で調査をしている人の報告が中心ですので、意義が高いと思います。
祝日ですので、事務所は5時ごろから開けています。事務所見学も兼ねてお出かけください。プログラムの詳細は、1週間前ごろに発表します。

2011年1月8日土曜日

日本野鳥の会東京が始める「アカコッコの保護研究」

  

野鳥の会東京では、今年から会の活動として、伊豆諸島特産のアカコッコの保護研究を始めます。アカコッコは、日本固有種で天然記念物として指定されている鳥。鹿児島県のトカラ列島でごく少数繁殖しているほかは伊豆諸島がその生息の中心です。
伊豆諸島・小笠原諸島には、アホウドリ、メグロをはじめ、希少種が多く、どれもが地球レベルでその保護対策が緊急の課題となっています。その中で、会では重要種で現在保護の手が比較的うすいアカコッコに注目し、その増殖を目指して、保護研究を始めるもの。
その第1弾は、4月下旬に予定されている八丈島探鳥会でのセンサス調査。これは同時期に行われる三宅島でのアカコッコの個体数調査(アカコッコ館主催)に呼応するもので、八丈島でセンサス調査を行い、両島での違いやそれぞれの島での特徴を検証しようというものです。また、この調査は八丈島探鳥会の一部として行われるもので、従来の探鳥会を保護活動も併せ持つ形にしようという新しい試みが組み込まれています。
            〔写真は『ユリカモメ』1月号表紙から・江崎逸郎氏撮影〕