2010年8月7日土曜日

ヒメシロハラミズナギドリについての補足

           

最新の『ユリカモメ』8月号(№658)の研究部レポートで発表したヒメシロハラミズナギドリ Pterodroma longirostris 〔写真:中村忠昌氏撮影〕について、誌面の都合上、割愛した事項があり、次のような疑問が寄せられています。 「ユリカモメの最新号に掲載されたヒメシロハラミズナギドリの件ですが、頭部の色が淡すぎるように思います。この仲間は類似種がいるので注意が必要です。これが記録されたころ、仲間内でも問題になったのですが、Cook's Petrel(Pterodroma cookii)の可能性もありそうです。ヒメシロハラミズナギドリの亜種とされることもあるPycroft'sPetrel(P. pycrofti)の可能性も捨てきれません。」
そこで、割愛した㈶山階鳥類研究所の茂田良光さんの同定根拠を掲載させていただきます。
「今年に出たHelm Field Guide,Field Guide to New Zealand Seabirds ほかの写真の本と比較して送られた3枚の写真から検討したところ,ヒメシロハラミズナギドリPterodroma longirostrisの成鳥でいいと思います。尾が換羽中で短く見えていますが,尾の先は黒く,嘴の形は細くも短くもなく,ヒメシロハラに一致しています。また,額から頭頂までが白く,眉斑がないように見え,後頭が黒っぽいのもヒメシロハラの特徴に一致しています。ハジロシロハラミズナギドリ Pterodroma cookiやウスヒメシロハラミズナギドリP.pycroftiほど淡くは見えてないです。頭から胸にかけて淡灰色に見える点は,上面の写真からは実際はそんな に淡くないと思います。また,摩耗と退色で,時期的に淡くなっていてもおかしくないと思います。」
なお、葛西臨海公園鳥類園の2007年9月10日のブログに、『ユリカモメ』掲載以外の写真もアップされていますので、参考になると思います。10月9日に上記、茂田さんの同定根拠も掲載されています。ブログ名は 葛西臨海公園・鳥類園Ⅱ です。(日本野鳥の会東京・野鳥記録委員会)

0 件のコメント: