2009年6月17日水曜日

『府中市域の野鳥たち Ⅱ』が刊行される

  


 東京で自治体単位での鳥類目録刊行が続いていますが、このたび、府中野鳥クラブが『府中市域の野鳥たち Ⅱ』を出版しました。「Ⅱ」となっているのは、2003年10月に、同クラブ創立20周年記念で、同名の本を出しているからです。今回は2002~2007年度の野鳥観察記録をまとめられています。
 目次を見ると「多摩川・定期観察会で観察した野鳥」「多磨霊園・浅間山ラインセンサス」「多摩川におけるカモの調査」「府中市内におけるヒバリの生息調査」などの継続調査結果が出され、また、新たに「ツバメの集団ねぐら」の調査報告が載せられています。
 本書のページをめくりながら、日ごろ気にしていたことが示されているのに気づきました。多磨霊園・浅間山のセンサス結果をもとにした『総個体数と留鳥個体数』のグラフでは、2000年をピークにして、明らかな右肩下がりのカーブが描かれています。ピーク時に比べ31%減とのこと。21世紀に入り、何となく鳥影が少なくなったと感じている人が多いと思いますが、このグラフは如実にその事実を知らせています。同じような右肩下がりのカーブは、1994年~2008年の多摩川のカモのカウントでも示されていて、身近な水辺での現況が読み取れます。「センサス」や「カウント」という科学的な調査方法ですので、その結果が何を意味するのか、今後の解析が待たれるところです。 
 一方、同クラブはツバメの集団ねぐらの調査を踏まえて、他団体と共同で多摩川流域でのねぐら場所の環境保全活動を続けています。そのことは近刊の『バーダー』(2009年7月号)にも紹介されています。市民活動で重要なことは「継続」とよくいわれます。出たばかりですが、今後も意義のある着実な活動が続けられ、数年先には「Ⅲ」が刊行されることを楽しみにしています。 A4判・66ページ、1冊500円・送料80円で購入できます。

【この本の問合せ先】〒183‐0005 府中市若松町3‐23‐3 大室清さん
          ℡・Fax:042‐365‐3297
          E-mail:k.omuro@jcom.home.ne.jp
<振り込み先・ゆうちょ銀行>【記号】10160 【番号】50765011
<他金融機関からの振込先>
【店番】018 【預金項目】普通預金 【口座番号】 5076501


           

2009年6月15日月曜日

繁殖記録1・多摩川下流のチョウゲンボウの母と子

  

 多摩川下流域の橋で今年、チョウゲンボウが繁殖しました。この橋での繁殖は十数年ぶりのことと思われます。巣は鉄骨上のドバトの糞だまりを利用していました。この巣では孵化後2週間あまりたってから雄親が姿を見せなくなり、雌親だけで3羽のヒナへの給餌を頑張っていました。それでもやはり餌の量が足りないのか成育が遅く、一番小さいヒナは孵化から約6週間たっても全身が灰白色のままでした。
 このヒナは結局、橋梁から川の中に落下してしまい、助かりませんでした。そして孵化から6.5週間ほど経過した6月11日(木)ようやく1羽が巣立ちをしました。巣は流れの真ん中に立つ橋脚の近くにあり、陸地に到達するには幅の広い流れを飛び越えなくてはなりませんので、河川敷のグラウンドにヒナの無事な姿を見つけた時は感激しました。
 残りの1羽は6月10日(水)の朝から橋梁上に姿が見えなくなりましたが、これも巣立った可能性はあると思います。6月12日(金)、6月13日(土)には巣から数十メートル離れた橋梁上にヒナ1羽が見られ、雌親が橋の近辺で行動していました。母子家庭のチョウゲンボウが今後も順調に成長してくれることを祈っています。(川沢祥三)

2009年6月13日土曜日

親鳥の迫力にタジタジ・ヤマドリの擬傷に遭遇

  

 6月12日(金)、東京・奥多摩の御岳ビジターセンターを訪れ、最近のようすをお聞きした後、大岳山(1267m)へ登りました。梅雨入り宣言が出ると晴れるのジンクス通りの好天。山頂からは丹沢の山並の先に、白い帽子をかぶった富士山がうっすら見えていました。繁殖の最盛期、キビタキ・オオルリ・コルリ・マミジロ・センダイムシク・ホトトギス・ジュウイチ・ツツドリ・・・と夏鳥のさえずりも一通り聞こえるものの数が少なく、静かな山行で、日本の森の先行きが心配といった状態でした。
 そんな中、馬頭刈尾根から白倉へと下りる路で、初めての体験をしました。午後3時ごろのこと、ひたすら歩いていると、右手の藪からガサゴソという音が聞こえ、トラネコのような茶色い動物が見えました。その動物は目の前に飛び出してきて、左翼を広げ、傷ついたようなしぐさを見せ、笹藪へともぐり込みました。最初は近くに巣があるのかと思いましたが、目の前のササ藪が一直線に揺れ、何かが動くようすが見とれました。「ヒナが逃げているのだ!」ヤマドリの雌の擬傷だったのだと気付きました。姿は見えなくなっても、シューシューという、まるで怪獣が吐くような威嚇の声は続き、その迫力にタジタジ。子を守ろうという親の姿に感動を覚えました。
 同じような体験は、1週間前に東京都心の日比谷公園でも経験しました。こちらはハシブトガラス〔写真〕。園内を巡回するガードマンへの威嚇行動を取材中に、巣立ちビナの近くで写真を撮っていた私への怒りのようすは、今回のヤマドリと同質のもの。ごめんなさいと謝って、そうそうに引き上げました。
 今は野鳥たちの繁殖期、東京都内でのいろいろな鳥の近況をお寄せ下さい。子育ての妨害にならないよう、節度をもって発表します。(川内博)