2009年4月21日火曜日

“裏ヤブ”ってご存知ですか? 薮内正幸の世界展にて

  

 何頭ものゾウが長い鼻を幹にして林立して『ゾウキ林』、『カモのハジ』はカモがだらしなく太るこということで、アヒルが描かれています。もちろんカモノハシをもじったダジャレですが、現在、東京・吉祥寺の武蔵野市立美術館で開催されている「動物画の奇才・薮内正幸の世界展」の一角に、そんなコーナーを見つけました。
 薮内さんの絵は、単行本、図鑑、挿絵、ポスターなどでいつも見ていて、かつてある関係で、当時荻窪にあったご自宅に何度かお邪魔したこともあります。展覧会のメインは、正統派の動物の絵の原画を中心に構成され、見ごたえのあるものばかりです。
 そんな展示の片隅に、関西人・エンターテイメントを発揮した、薮内さんのイラストが5点飾られていました。解説によると、月刊誌『どうぶつと動物園』のカットを編集者に渡す封筒の裏に、毎回同封の絵にちなんだ絵がダジャレとともに描かれていて、それを仲間内で“裏ヤブ”と呼んで楽しんでいたとか。すでにある週刊誌で紹介されたとのことですが、今回初めて見て、思わずニヤリと笑ってしまいました。
 精密に描かれた原画に接する楽しみとともに、『酔ッタカの里』『おやまの・・・オイライオン』などのダジャレとともに描かれている“裏ヤブ”の絵はどんなものか、想像しながらお出かけください。(川内博)
カットは入場券。期間は表記の通り・4月30日休館。美術館は吉祥寺・伊勢丹新館7階。入場料は100円

2009年4月17日金曜日

4月19日・NHK・ダーウィンが来た!でオオタカ登場

  

4月19日(日)のNHK総合テレビ・夜7時30分~8時の「ダーウィンが来た!」で、東京地方のオオタカの生態が登場します。東京都心部でも繁殖する時代になり、身近でオオタカの姿を見る機会が増えましたが、今回の映像は、狩り(ハンティング)を中心に構成されていて、内容についてはディレクターが自信を持っているようです。NHKのホームページを見てもなかなか興味深いシーンが撮れているようです。
東京での猛禽類については、かつてチョウゲンボウ・ツミについては、ある程度まとまったものがありますが、オオタカについては不明のままです。現在、日本野鳥の会東京支部・研究部では、現状を把握するため、情報を集めています。ご協力をお願いいたします。
写真は、昨年、東京23区内の公園で巣立ったオオタカ。

2009年4月16日木曜日

世田谷の鳥-世田谷区鳥類目録-が発行される

  

㈶世田谷トラストまちづくり・野鳥ボランティア(代表 宮森達雄さん)が、3年がかりでまとめ上げた、『世田谷の鳥-世田谷区鳥類目録-』(A4判・212pp.)が発行されました。1910(明治43)年以降、世田谷区内では、2007(平成19)年12月現在までに、在来種18目49科235種、外来種4目8科21種が記録されています。
世田谷区は東京都の23区内西南部に位置する大きな区(23区中2位)で、人口は第1位。平均標高35.6m(最高51m、最低3m)とほぼ平坦な地域で、南端は多摩川が流れています。比較的緑地が多く(緑被率23区中2位・朝日新聞2005年9月16日付)、良好な住環境として知られている場所です。
本文中で出現鳥類をいろいろ分析されています。たとえは環境別構成としては、山野の鳥58.2%・水辺の鳥41.8%、渡り区分としては、留鳥23.1%・夏鳥5.1%・冬鳥38.0%・旅鳥33.8%(不明種を除く)などなど。その中で、私が興味をもったものは「繁殖した鳥とその生息状況」。この目録では、1910~2000年と2001~2007年で比較されていて、以前と比べ、現在はどんな変化が見られるかコメントがつけられています。また、「主な種の消滅と出現」では、戦後の1946(昭和21)年から5年区切りで、ヒクイナ、サンショウクイ、コジュケイ、オオタカ、チョウゲンボウ、ツリスガラなどの記録がまとめられています。集めたデータ数は147,000件。その記録はCD-ROMの形で添付されています。
一般に頒布される予定はないようですので、興味のある方のために、奥付に記されている電話番号とURLを紹介します。℡03-6407-3311、http://setagayatm.or.jp                 (川内博)

2009年4月6日月曜日

「サクラにスズメ」の相関図の謎

  

「梅に鴬」「竹に雀」は昔からの定番ですが、最近は「サクラにスズメ」が一般的になりました。ちょうどサクラの満開のころ。花見をしていると、サクラの花びらではなく、花がクルクルと回転しながら降ってくるのを見かけませんか。そんな時は必ず、スズメの声がしているはずです。よく見ると、スズメがくちばしで花を食いちぎっては、クチュクチュと噛んだあと捨てているのが原因だとすぐわかります。スズメは、花の蜜や子房を餌にしていると考えられています。しかし、同じ蜜を求めてサクラの花に来るメジロやヒヨドリと違い、彼らの行為は「盗食」です。花の蜜は、鳥や昆虫に花粉の媒介を頼むために発達したものです。そのためには、花の正面からくちばしを突っ込んで、くちばしや顔に花粉をくっつけてもらう必要がありますが、スズメのそれは、受粉には無関係のやり方だからです。東京あたりでは、外来種のワカケホンセイが同じ採食法をとります。
ところで、この「スズメの盗食」行為は、昔から見られたものではなく、一般化したのは1980年代です。スズメもサクラも、古くから日本にごく普通に存在している生物ですので、なぜ最近になってこのような行為が一般化したのは謎です。花吹雪ならぬ「花車」という風景も悪くはないのですが、春の風物詩となったこの現象。どなたか謎解きに挑戦してみませんか。