2009年2月28日土曜日

冬場に夏鳥ヒクイナが生息・東久留米市黒目川で

  

1月末に新聞などで報道されていますのでご存じの方が多いでしょうが、関東地方では夏鳥のヒクイナが、真冬に東京都内の川で観察されるという珍事。場所は東久留米市幸町1丁目の黒目川。発見されたのは1月24日ごろ。それ以来ほぼ同じ場所で生息。私が観察したのは2月22日(日)。黒目川は街中を流れる石造りの護岸の川幅10数mの小河川。両側は人や自転車が走る遊歩道となっています。最近の珍鳥出現場所の定石通り、数十人のカメラマンとギャラリーが集まっていました。私もその中のひとりとなり、観察と撮影をしてきました。この地のヒクイナは人を恐れるようなそぶりは全くせず、岸辺の草むらを歩きながら、一所懸命餌探し。草むらが途絶えるとその場所は急ぎ足で通りぬけ、また、草むらに入ると、短い尾をピクピクと立てながら、歩きまわるという行動でした。ヒクイナの冬季の観察例は、たぶん、東京都内では初めてだと思われます。繁殖自体も激減していて、確実な繁殖事例は、1990年6月の狛江市多摩川までさかのぼらなくてはならないのではないでしょうか。(川内博)

2009年2月13日金曜日

水元公園の妙なカモ・続報

  

東京・葛飾の都立水元公園で、目の周りが白い雌のヒドリガモの話題をアップしましたが、興味ある情報が寄せられましたの紹介します。一つは、同じような個体が、同じ水元公園で、2008年1月26日に観察・撮影されていたという、落合はるなさんからの情報(写真)。もう一つは、このようなタイプ(アイリング型と命名)以外にも、眼鏡型や後頭白髪型・・・がいるという話。ハンドルネーム(Shin's)の匿名情報ですが、おもしろい内容ですので、ご本人の了解を得てURLを下記に表示します。ぜひアクセスして、新たな情報をお寄せ下さい。「をかしの庭」http://walkandsee.blog80.fc2.com/blog-entry-245.html

2009年2月6日金曜日

講演会案内 自然誌学と自然誌文献-鳥類を例にして- 講師:大野正男・東洋大学名誉教授

  

自然誌学の泰斗、東洋大学名誉教授の大野正男氏の講演会が、2月18日(水)午後6時から、JR原宿駅近くの渋谷区立千駄ヶ谷区民会館2階ホールで開かれます。「自然誌学と自然誌文献―鳥類を例にして-」と、少しかたいタイトルですが、最近インターネットの普及で、やや軽視されがちな「書籍」の重みを熱っぽく語っていただけると思います。過日、先生のお宅を訪ねた際、動植物・自然・環境関係の書籍が、びっしりと並べられている書棚(写真参照)を拝見しながら、「蔵書は何万冊ですか?」と尋ねたところ、「冊数ではもう数えていない、横に並べて1800mある」とのお答えでした。自宅はもとより、庭に建てられた3棟の書庫に、きちんと整理されている様は壮観でした。新刊・古書の新規購入・寄贈はもとより、日本中の自然関係の団体に所属され、毎日届けられる書籍は膨大なもの。先生のすごいところは、分量もさることながら、それらの内容を個々にチェックして、所定の場所で管理されていること。今回、武蔵野に繁殖分布を広げているエナガについて『コケ類』との関係で調べているといったところ、たちどころにいくつもの文献を紹介されました。先生のもともとの専門は昆虫学。鳥はたくさんの自然関係分野のひとつなのに、『脳ピュータ-』の中の高性能回路には驚愕の一語。ちなみに、私の鳥・自然関係の書棚・ファイルを測ったところせいぜい150m。これだけでも整理・整頓に苦慮している毎日なのにと、その能力の違いに愕然とする思いでした。大野先生の鳥関係の講演はいままであまりありませんでしたので、今回は絶好の機会です。ぜひご参集ください。
【日時】2009年2月18日(水)開場午後6時・開演6時30分・終了9時予定 【会場】渋谷区立千駄ヶ谷区民会館2階 【交通】JR原宿駅・東京メトロ千代田線明治神宮前・副都心線北参道下車、徒歩約10分 【参加費】300円 【主催】日本野鳥の会東京支部〔会員でなくても参加自由です〕 (川内博)

2009年2月4日水曜日

清瀬市・柳瀬川で越冬ツバメ発見・情報をお寄せ下さい

  

「越冬ツバメ」の話題は昔からありました。とくに浜名湖畔の『お宿』は有名で、半世紀以上の歴史があり、1970年初めには140羽が定宿にして越冬していました。しかし、年を追うごとに減っていき、1984(昭和59)年2月7日に最後の1羽が飛び立ったきり帰ってこず、消滅したという記録があります。これほどの越冬ではなく、数羽の記録は東京でも多摩川をはじめ、いくつも観察されています。1975年発行の『東京都産鳥類目録』には、1961年1月1日6羽+、調布市多摩川(無事越冬)、翌冬も同地で2羽が越冬したようです。64年には浅川という記録もあります。その後も、1976(昭和51)年1月4日に西多摩郡(現あきる野市)五日市町、同じ冬には川崎市多摩区多摩川で数羽の越冬が記録され、新聞記事にもなっています。94年12月、96年1月にも多摩川で記録されています。さらに調べると、まだ記録があると思います。
ところで、今年は1月26日に、清瀬市柳瀬川1羽が観察され、撮影されました。発見した青木秀武さんによると、場所は城前橋上流100メートル付近で、川面や畑の上を飛び回り、陽のよくあたる護岸コンクリートの上や、ビニールトンネルの止まるなどの行動を繰り返したとのことです。このことをMLに流したところ、さっそく千葉県の小櫃川河口で、1月3日に1羽観察したという情報が、西方明雄さんから寄せられました。腹部が茶色っぽい個体だったとのこと。
これを機会に、首都圏の最近の「越冬ツバメ」状況をまとめてみようと思っています。ぜひ状況をお寄せ下さい。自分の観察だけでなく、確実と思われるご存じの記録を教えてください。また、文献などもご教示いただければ幸いです。
【情報提供先】研究部HPからお願いします。 http://homepage2.nifty.com/tokyo-birdstudy/
写真:水村豊次郎氏提供