2009年7月31日金曜日

ツバメの集団ねぐら

  
ツバメの集団ねぐらがピークを迎えています。
多摩川では、六郷橋下流、新二子橋上流、上河原堰上流、府中四谷橋下流等、昨年と同じ場所でツバメの集団ねぐらが形成されています。

中でも昨年、府中野鳥クラブの外来植物アレチウリの除去の取り組みによりよみがえったヨシ原で、今年も3万羽近いツバメが集団ねぐらを形成しています。
3万羽近いツバメの乱舞は圧巻です。是非一度観察にお出かけ下さい。
最寄り駅は、京王線中河原駅です。徒歩15分ぐらいです。ねぐら入り前の大乱舞が見られるのは、日没時間頃からです。今頃ですと18時30分頃には現場に着いているのが良いでしょう。
集団ねぐらは、8月上旬をピークに急激に減り、9月にはほとんど見られなくなります。

以下は、多摩川の府中四谷橋の下流で7月20日に撮影した集団ねぐらの動画です。



なお、詳細な情報は、多摩川流域ツバメ集団ねぐら調査連絡会のホームページを参照下さい。

2009年7月27日月曜日

繁殖記録2・カワセミの営巣状況を調べます

  

 昨冬はカワセミの生息分布を調べましたが、実際地図上にプロットしてみると、おもな水辺は都内のどこでも生息しているという状況で、地図化することを行いませんでした(『ユリカモメ』2009年8月号参照)。
 しかし、繁殖分布となると、きちんと調べる価値があることです。現在営巣しているところはどこか、そこはどんな環境か、将来的に大丈夫な場所なのかなど、明らかにして、今後の対策を考えることは重要なことです。また、「人工巣」が各地に設置されています〔写真・23区内の公園にて〕。どこにどのようなタイプのものがあるのか、その利用状況はどうかなども、大変興味あることです。
 そこで、予備調査として、繁殖についてご存じの方は、下記にご連絡ください。どこまで明らかにするかなどは、よく連絡を取り合って、連絡(協力)者が納得いく形で調査を進めますので、ぜひお知らせください。(川内博)
【連絡先】E-mail:hkawachi@bg.mbn.or.jp

2009年7月2日木曜日

ツバメのお宿はアパート? 繁殖期の伊豆諸島その4

  

 繁殖期の伊豆諸島の旅も最後は大島。ご協力いただくのは、ずっと以前からお名前だけは存じ上げていた野鳥の会のベテラン・望月英夫さん。いただいた資料によると、在島40年余で確認種は174種を記録とのこと。春・秋の渡りの時期には多数の鳥が見られることや、冬にはハギマシコが100羽単位で飛来し、三原山の山腹で越冬すること、また、昨年はクロツラヘラサギ1羽が海岸に現われたことなど、大島や利島の環境変化などを交えての話を、ご自宅でお聞きしました。庭のまわりは自家菜園の畑とか。キジやウグイスが朝からうるさくて、寝ていられない!と笑いながら、そんな贅沢な悩みも語られました。
 朝からの雨が昼過ぎにはあがったので、岡田港へ送っていただく途中で、二子山(619m)山腹の林道を探索。原生林中心の静かな山道で、オオルリやイイジマムシクイ、ウグイスが囀っていました。また、大島公園の動物園に立ち寄りました。規模は大きくはありませんが、各種の動物が飼育されていて、オジロワシの繁殖に成功し、ペアへの表彰状が飾ってありました。その動物園の入口の管理舎の軒先には、ツバメの巣が5巣あり、2つ以上で子育てをしていました。
 ところでツバメといえば、前日の29日(月)、夕方に大島・元町港に着いて、観光協会で宿を決めて、一歩外へ出たところで、たくさんのツバメの乱舞に出会いました。よく見ると真向かいの3階建てのビル・(株)山田回漕店に、多数の巣があるのが見え、さかんに出入りしていました〔写真〕。実際使っているか否かは調べませんでしたが、1階に10巣以上、2階に5巣以上と、まるでコロニー状態。最近、“益鳥・ツバメ”の神通力がなくなって、平気で巣を落とす人が増えていて、また、新築建造物にはあまり造りたがらず、営巣場所が限られるような傾向があります。もちろん、多数のツバメが営巣しているのは、このお店の人たちが大事にしているのが一番でしょうが、古めの建物が減っていることも一因と思いました。
 今回の一連の旅で気づいたこととのひとつに、島でのツバメの営巣状態。大島・式根島・神津島・三宅島ではツバメの営巣を確認しましたが、八丈島では成鳥の姿すら見かけませんでした。八丈島協力者の岩崎由美さんにお聞きしたところ、ほとんど営巣しないとのこと。しからば父島・母島ではと調べようとすると、メグロや海鳥については詳しい文献も、ツバメについては1,2行と素っ気いない記載ばかりで、実態は読み取れない状態です。今回の鳥類目録では、普通種にも目を向けての作成が必要と感じました。
 大島から東京・竹芝までジェット船では約1時間半。行きの大型船の客の少なさに比べ、帰りに乗った高速船の込み具合を比較し、時代の流れをも感じた旅でした。(川内博)
 
 

2009年7月1日水曜日

ヤマガラ亜種に注目・繁殖期の伊豆諸島その3

  

 伊豆諸島での鳥類目録作成協力者とお会いするとともに、現地の状況を知る旅の第2弾は、6月27日(土)夜10時出港のかめりあ丸(3700t)で、まず神津島へ。船は途中横浜・大島・利島・新島・式根島に立ち寄り、翌28日(日)午前10時に神津島港に着岸。梅雨前線が横たわっている状況なので、小雨が降り続く中での上陸。ここでご協力いただく中村親夫さんとお会いし、ひとまず宿へ。午後から打ち合わせをしている間中に低気圧が通過し、強い雨風。夕方ごろには雨はほとんど上がったものの、目的の天上山(574m)登山は全行程5時間かかるため断念。
 夜半にはアオバズクが鳴き、ホトトギスが大声で鳴きまわっていました。朝4時半~6時半まで村落や林道探索。スズメやツバメ、イソヒヨドリの若鳥などを確認。アマツバメやトビが飛び交い、ハシブトガラスが目につきました。7時~8時半までは中村さんの車で原生林が続く島の北部へ。つづき沢あたりで探鳥。
 この島で気になったのは『ナミエヤマガラ』。ヤマガラの亜種のひとつで、利島・新島・神津島に生息し、従来数が少ないとされていました。今回歩いたところでは、幼鳥を含めてよく見かけた〔写真〕ので中村さんにお聞きしたところ増えているとのこと。しかし、その体色にはバリエーションがあり、オーストンヤマガラのように色が濃いものからヤマガラタイプまで、いろいろいるとのと。ナミエ亜種がどこまで確立されたものか、今後検証してみる必要がありそうです。29日(月)は好天。しかし、10時半の船で式根島へ渡らねばならぬために天上山へは登れず、次回の楽しみに残しました。
 式根島ではご協力者・小倉暁雄さんにわざわざ野伏港まで出向いていただきお会いしました。昆虫が専門とのことでしたが、野鳥に造詣が深く、新島を含めて百数十種を確認され、カラー写真の小図鑑も作成されていました。この島ではヤマガラはほとんど生息せず、シジュウカラが増えているとのこと。小さい島だけに、鳥は種類・数とも少ないとのことですが、神津島では見かけなかったシジュウカラがさっそく出てきました。大島や新島ではほとんど枯れてなくなったマツが元気よく生育し、大浦海岸、泊海岸などの優雅な岩とよくマッチしていました。港近くにたむろするウミネコ数百羽に見送られ、午後2時45分発のジェット船で大島・元町港へ。〈続く〉(川内博)