2008年11月28日金曜日

新刊紹介・多摩川のツバメ集団ねぐら調査報告

  

 「東京のツバメの集団ねぐら地はどうなっているの?」京都の鳥友から尋ねられて、答えは「??」。今までその気で調べたことがなかったからです。ツバメの初認や営巣については毎年のようにチェックしていましたが、巣立った後については「若鳥は、多摩川や東京湾岸などのヨシ原で集団ねぐらをとり、秋になると南国に去る」ということで済ませていました。しかし、実際は、どこに・何羽くらいが集まっているかは、断片的な情報しか知りませんでした。多摩川河口に調べに行きましたが、下調べ程度で長続きしませんでした。
 ところで、今回10月31日付で出版された『多摩川流域ツバメ集団ねぐら調査報告』(A4判・110ページ+資料)は、八王子・日野カワセミ会、府中野鳥クラブ、㈶世田谷トラストまちづくり野鳥ボランティア、NPO 法人リトルターン・プロジェクトなど、日本野鳥の会東京支部研究部の調査に参加していただいている団体が中心となって連絡会をつくり、連携し・継続し調査を進めた成果です。
 内容は、ツバメの集団ねぐらの解説から、多摩川での現状、ねぐらの保全、今後の課題などが満載され、関東地方の一大集団ねぐら地の状況がまとめられています。これだけまとまったものは、いままでありません。この報告書は、単にツバメの集団ねぐらの情報を得るだけでなく、いくつもの団体が協力して事にあたり、どのようにしてその結果を公表するという面でも、読む(知る)価値のあるものです。この種の報告書は、その時でないと入手しにくいものです。
購入希望の方は、下記に連絡してください。                              (川内)

   1部1000円、送料80円。
連絡先;渡辺仁さん 
電話/FAX:042-375-4615
                                    

2008年11月21日金曜日

アカガシラカラスバト講演会に参加して

  



 11月16日(日)午後1時から、東京・上野動物園の西園動物園ホールで開かれた講演会に参加しました。演題は2つで、いずれも小笠原諸島特産亜種のアカガシラカラスバト(赤頭烏鳩)の近況を伝えるもの。前半は「アカガシラカラスバトの生物学的な話」ということで、森林総合研究所の川上和人さん、後半は「小笠原のアカガシラカラスバトの現状」ということで、小笠原自然文化研究所の鈴木創さんが、いずれも素敵なイラストをまじえた構成で、絶滅の危機に瀕している(推定個体数40羽以下)現状を分かりやすく解説されました。小笠原諸島には、標本3体を残して絶滅した近縁種のオガサワラカラスバトがいて、その轍を踏まないために、国・都・村そして動物園も一体化して、その保護と増殖に邁進している状況です。今回の講演会もその一環で、アカガシラカラスバト(愛称・あかぽっぽ)の生態紹介と知名度をあげるために開かれたようです。会場のとなりでは、保全活動や動物園での飼育状況が特別展示「あかぽっぽ祭」ということで、写真やビデオで紹介されていました。 今回参加しての裏収穫は、アピールの際のイラスト使用の効果性(イラストは川上画伯作)と、あかぽっぽの「赤」が、南国の島特有の暗い林床で映えるという鈴木さんの言葉。小笠原諸島は東京都所管地。来年度から予定している島嶼部の鳥類目録作成への準備として、裏から表から価値ある情報収集となりました。(川内博)

2008年11月20日木曜日

第1回東京の鳥シンポジウムの開催

  

 日本野鳥の会東京支部では、研究部主催で、第1回東京の鳥シンポジウムを11月15日(土)に、渋谷区立千駄ヶ谷区民会館で開催しました。今回は、いま進行中の「自治体別鳥類目録」作成を眼目に、メインテーマは「東京の鳥の変遷を探る」。基調講演は環境変化にともない東京の鳥相が一変したことを示した「『1970年代』を境に東京の鳥は変質した」、次いで目録の大切さを解説した「『生物インベントリ』の重要性」、そして、ミシュランにも登場した東京の名所・高尾山の鳥の変遷をまとめた「高尾山の『鳥歴』を追う」の3編。それぞれ詳細な資料をもとに、興味深い内容でした。
 右の表はその際示されたもので、東京都心部の明治神宮でのカワセミの生息のようすです。縦軸は年、横軸は月。黒く塗りつぶされたところがカワセミが確認された月。1947(昭和22)年から毎月第3日曜日に開催されている探鳥会(バードウオッチング)の記録から作成されたものです。この表から、カワセミが東京オリンピック(1964年開催)の影響を受けて、都心部から姿を消したこと、そして、1980年代に復活したことが明確にわかります。
 「鳥は環境の表現型」という面でみると、東京の環境の変遷の一部をものの見事に示したものといえるでしょう。今回のシンポジウムは第1回。2回、3回と開催される予定です。研究部のHP、ブログで事前に開催を告知しますので、ぜひご参加ください。

2008年11月8日土曜日

大型のサイチョウのゆくえ?情報をお寄せ下さい

  

やや古い話ですが、2008年8月3日午後4時ごろ、東京都練馬区の光が丘公園で、アフリカ原産のギンガオサイチョウの若鳥と思われる鳥が、上空を通過しました。会員の土橋信夫さんがその姿をとらえ、その写真が送られてきました。全長70㎝もある大型の鳥ですので、見かけたら話題になると思いますが、現在のところゆくえ不明です。見かけた方は、東京支部にご連絡ください。

電話;03-5273-5141 ファクシミリ;03-5273-5142 http://homepage2.nifty.com/tokyo-birdstudy/(研究部)

2008年11月6日木曜日

研究部例会報告 2008年10月19日

  

日本野鳥の会東京支部研究部主催の室内例会が、10月19日(日)午後1時30分~4時の間で、新宿の支部事務所で開かれました。今回のメイン話題は ①新・東京都産鳥類目録の作成状況 ②データの収集状況 ③11月15日開催の第1回東京の鳥シンポジウム「東京の鳥の変遷を探る」についてなどでした。その中で、目録のたたき台となる『東京都産鳥類目録・2000・自治体編 Ver.1』が今年度中に発行される予定とか、伊豆諸島・小笠原諸島の島嶼部の目録作成準備が始められることなどが発表されました。また、今後、探鳥会ごとのまとめや、バードウオッチング名所のまとめなども企画されていることがわかりました。いずれにしても、目録作りは一つひとつの積み重ねが大事ですので、着実に推進されていることがわかる有意義な集まりでした。
  10月下旬、今年も冬鳥・ジョウビタキの雄〈写真〉の美しい姿を東京都心部で見かけました。東京には毎年いつ頃来るの?といった質問も、目録ができれば、誰もが簡単に知ることができるでしょう。                   
                                                        (Pica)